◆プロフィール

SonicGardenというソフトウェア企業で代表をしています。日々アジャイルソフトウェア開発とリーンスタートアップを実践しています。クラウドを活用したワークスタイルの変革を目指しています。元プログラマで「心はプログラマ、仕事は経営者」をやってます。


◆アジャイルとの関係、関わり方

私にとってアジャイル(当時はXP)との最初の出会いは、平鍋さんとの出会いとも言えます。学生時代にベンチャーで働いて、ソフトウェア開発の楽しさを知り、社会人になってデスマーチに入って、ベンチャーでの頃とのギャップに疑問を感じていた自分にとって、2000年の夏に平鍋さんに出会ってXPを知ったことは、大きな転機になりました。

私は「アジャイル」という言葉を知ってからアジャイルに取り組んだ訳ではなく、自分のやりたいことを端的に表した言葉が「アジャイル」だったという感覚でいます。だからこそ、自分で実践していないと気が済まないのです。最初は自分にとって教科書だったXPも、自分で実践していくうちに離れていき、自分なりのやり方になっていきました。

今、自分の会社を経営していくにあたって、アジャイルは当社の強みであると考えて戦略を立てますが、強みというのは裏付けであって、お客様に提供する価値とは別だと考えるようになりました。大事なのはビジネスモデルです。成し遂げたいビジョンがあり、そのビジョンの実現のための戦略とビジネスモデルを考え行動します。その結果として、誰から見てもアジャイルであると言われるようにありたいと思っています。


◆コミュニティとの関係、関わり方

私が最初に関わったコミュニティは、やはりXPJUG(日本XPユーザグループ)だったと思います。オブジェクト指向に関する勉強会やコミュニティはあったのですが、当時の私には敷居が高く、ただのオーディエンスでしかいられなかったように思います。一方でXPJUGは、まだ日本で誰も権威はいなかったので、参加しやすかったのでしょう。

最初はただの参加者でいた自分でしたが、色々な方の発表を聞くうちに、自分でも話してみたいと思うようになりました。特に、牛尾さんとの出会いは強烈でした。牛尾さんの発表を見て、私も誰かに伝えたいという衝動が抑えきれなくなり、自分から情報発信するようになったのでした。

一度、発表者に立つと運営側にも入りやすくなり、気付いたらXPJUGの2代目の代表を仰せつかることになりました。私自身はカリスマとは無縁の人間ですが、スタッフの皆さんと共にXPJUGを続けさせてもらうことができ、幸せでした。コミュニティは会社の常識に捕われず、外を知ることの出来るとても大切な第1歩だと思っています。コミュニティに参加したら、次は行動に移すと良いですね。


◆起業したきっかけ、理由、起業に託した想い

私が最初になんとかしたいと思ったのは、自分の人生でした。ベンチャーでプログラマとして楽しく働いた後、大手企業に入社して、そこでのソフトウェア開発におけるプログラマの扱いがとても残念で、プログラミングが本当に大好きな私は、プログラマとしての自分が評価され続けるためには、会社と業界を変えないといけないと思ったんです。プログラマが最下層なんて世界を覆す革命が必要だと。

そんな中で出会ったのがアジャイル(XP)で、アジャイルを通じて業界を変えれるかもしれないと思い、活動してきました。独りで実践しても駄目だったら、仲間を作り、それで駄目なら、マネージャや営業もこなし、私の目指す姿を求めてきました。その結果、わかったのはこの業界のビジネスモデルの問題だということでした。それを纏めたが「ディフェンシブな開発」でした。

そこで示した2つの道の一つ、社内システム部門の立場に身を置くことを決めました。転職ではなく、社内での異動に近い形です。そこで、今の事業の一つに繋がる社内SNSを開発することになります。社内での評価は上々だったのですが、社内向けでいる限り、いつ会社の意向で潰されるかわからない。そこで、オープンソースにした上で、自分でビジネスをすることにしました。それがSonicGardenの誕生の経緯です。

自分には成し遂げたいビジョンがあって、それを成し遂げることをミッションとするような、自分と志を共にする仲間が必要です。そして、私のビジョンの実現には、ビジネスモデルから変える必要がありました。ビジネスモデルと企業の目指すゴールは密接に関連します。ゴールを決めることが出来るのは、その企業のトップだけです。それが出来るために起業したのです。

私が目指しているのは企業のトップになることでなく、私のビジョンの達成だからです。


◆10回めを迎えたXP祭りへのメッセージ

10回目のXP祭り、本当におめでとうございます。私がXPJUGの代表をさせてもらっていた時のポリシーは、コミュニティは商業目的でないので、小さくともグダグダでも、楽しい仲間で続けることだけでも価値があると思っていました。一度消えた火を付けるのはとても大変だけど、小さな火でも燃え続けていれば、きっと誰かの灯りになるはずです。XPJUG代表の渋川さんが、私の渡したバトンをしっかりと受け継いでくれて、とても嬉しく思います。ありがとうございます。


※倉貫さんは、事前アンケート結果をブログでも取り上げてくださいました。

 

Comments are closed.